蓜島伸彦(はいじまのぶひこ)は1970 年東京生まれ。東京造形大学版表現コース、大学研究科を経て90 年代後半から展覧会活動を始めました。その後すぐに東京オペラシティアートギャラリーのコレクションとなり、収蔵品展に展示。さらに近年は精力的に個展や国内外のグループショウ(東京都現代美術館「MOT アニュアル2002」、ソウル省谷美術館「eleven &eleven コリアジャパンコンテンポラリーアート2002」など)に出品。そのシンプルな中にもインパクトのある作品は注目を集めました。

蓜島は型紙(ステンシル)を用いて、主に雑誌など既製の印刷物や、写真、映像から抽出された動物や植物をモチーフに絵画を制作しています。それらの作品は対象を極度に簡潔化し、時にはほとんど抽象画のようにさえみえますが、同時に描かれた対象が物語性を感じさせ、抽象と物語、静と動、光と闇、正確さとあいまいさなど、通常は二律背反するもの(アンチノミー)が不思議と共存する、シンプルな画法ながら、極めて複合的な絵画作品となっています。

蓜島自身の言葉によれば、絵画上の空間やテクスチュア、イリュージョンを操作することによって、絵画でしか獲得することのできない「ある感覚」の実現を目指しているといいます。その「感覚」は彼なりの絵画史の解釈の末に抽出されたもので、時に彼の愛好する他の芸術ジャンル、音楽や詩に共振するような種類のものであり、その意味で蓜島はオーソドックスな芸術を信奉する極めて正統的なアーティスト、画家であるといえるでしょう。

ぎりぎりまで切り詰められたそのシンプルな絵画作品は、観る人の想像力の内部に様々な事象を喚起させます。都市生活の孤独や、喜び、悲しみ、ほのかな希望といった感情。ここで作品は観る人の想像力を発動させるスイッチのような役目を担い、特に複数の絵画作品が並ぶ個展会場においては各作品が共振し合い、観る人ごとに無数のストーリーを紡ぎ出すことでしょう。

モチーフが動物(時に植物)に限定されていることについて、蓜島は動植物のモチーフが結果的に「絵を観る人=人間というモチーフを浮かびあがらせることになる」とも語ります。「観る人自身が図として浮かび上がる」人間不在の世界を描く蓜島は、間接的な手法で人間という普遍的なテーマを追求しているといえます。

本展はギャルリー東京ユマニテにおいて4年ぶりの新作展となり、100 号から小品までのキャンバス作品を中心に約20 点で構成されます。ますますパワーアップした蓜島の新作展、今回も是非ご高覧いただけますようご案内申し上げます。


本展にあわせて制作されたパンフレットを販売いたします。
「蓜島伸彦- deep river」 2008 ¥400
B6サイズ 12.8x18.2cm 全頁カラー 16p. 図版19点
ご希望の方はお問い合わせください。
humanite@js8.so-net.ne.jp  tel. 03-3562-1305

関連情報
ギャルリー東京ユマニテ個展2005 年
http://kgs-tokyo.jp/human/2005/050117.html
蓜島伸彦 新作
http://kgs-tokyo.jp/human/sales/071110/index.h
tm

<作家コメント>

展覧会タイトル「deep river」について

このdeep river という言葉は古いゴスペル曲のタイトルです。私はこの曲がとても好きで、この曲を聴いた時に喚起される「何か」を自身の絵に取り込みたいと考えました。それがうまくいっているかどうかはわかりませんが、今回展覧会タイトルに拝借することにしました。この言葉はいろいろな情景/意味を喚起しますが、それが展覧会の絵たちと偶発的に、あるいは必然的に共振し合うことを願っています。  蓜島伸彦

蓜島伸彦 略歴
1970 東京都生まれ
1996 東京造形大学美術学科Ⅰ類卒業
1997 東京造形大学美術学科Ⅰ類研究生修了(版表現研究室)

主な個展
1997, 99
「岡村多佳夫企画」アユミギャラリー、東京
1999, 00, 03
ギャラリエアンドウ、東京
1999
「西村智弘企画 vol.2 現在性の美術 蓜島伸彦」ギャラリーマキ、東京
2000,02,05,08
ギャルリー東京ユマニテ
2001, 03, 05
ギャルリ プチボワ、大阪
2004
現代HEIGHT gallery den、東京
2005
ON GALLERY、大阪
2006
ギャラリーリヴアート、松

主なグループ展
1998
「寺田コレクション秀作展 Part1」東京オペラシティアートギャラリー、東京
2000, 01, 06
「収蔵品展」東京オペラシティアートギャラリー、東京
2000
「新世紀を開く美」高島屋美術画廊、東京、横浜、大阪、京都
2002
「MOT アニュアル2002Fiction? 絵画がひらく世界」東京都現代美術館、東京
「eleven eleven コリアジャパンコンテンポラリーアート2002」省谷美術館、ソウル、韓国
2004
「版画の記憶/現在/未来」東京藝術大学美術館陳列館、東京
2006
「Imaginary Truth」東京造形大学付属横山記念マンズー美術館、東京
「With You, With Art アートとともに 寺田小太郎コレクション」府中市美術館、東京
「群馬県立近代美術館コレクション4 アートの箱庭 昭和庁舎でみる現代美術」群馬県立近代美術館

お問い合わせは  ギャルリー東京ユマニテ humanite@js8.so-net.ne.jp
tel. 03-3562-1305 fax. 03-3562-1306


“small window 2” 2008 Acrylic on canvas 41x24.3


"trio" 2008 acrylic, pigment on canvas 72.8x91cm


"bear" 2008 acrylic, pigment on canvas 53x45.7cm


"high and dry" 2007 acrylic, pigment on canvas 41.2x31.9cm


“sunshine” 2008 Acrylic on canvas 41x41cm


参考作品 “plateau” 2005 Acrylic on canvas 162x162cm

EXHIBITION

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